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伊勢湾台風での、奇跡の赤ちゃん

2019/10/12

台風19号が近づいていますが、風も静かで雨も少し降っている程度です。
20時間も後には暴風雨が吹き荒れるなどとは、天気予報がなければ想像もできません。

今から60年前の1959年9月26日、895hPaの台風15号Veraが潮岬に上陸しました。
しかし当時は今と違って、台風の強さや大きさ、位置や進路等が分からず、備える術がありませんでした。
伊勢湾沿岸の愛知県や三重県の被害が甚大であり、後に伊勢湾台風と名付けられました。
死者行方不明者合わせて5000人以上。
また負傷者も38,000人を超えました。

以下の話は、伊勢湾台風のあと現地を訪れた人から直接聞いた話です。

その男の人は、何か手伝えることでもないかと考えて、現地を訪れたのだと思いますが、海を望む長椅子に服装でそれとわかる郵便局員の男性が座っていたのだそうです。
その人に声をかけて、話してわかったのは、その郵便局員の男性の奥さんが、この度の台風で亡くなられたということでした。

「それはお気の毒でした」と声をかけると、「でもね、一ついいことがあったんですよ」と言われるのだそうです。
その郵便局員さんは、続けて「数人の人が小舟に乗って、海に何か残ったりしているものがないかと、沖に出るというので、自分も乗せてもらいました。
「しばらく船に乗っていると、遠くに何か浮いているのが見えます。近づいて見て驚きました。それは柳行李で、なんとその中に仰向けに寝た状態で、赤ん坊がニコニコして笑っているではありませんか!
皆驚きましたが、船を近づけてその赤ん坊を掬うようにして抱き上げました。
すると不思議なことに、これで役目は終わったとばかりに、その柳行李がぶくぶくと沈んでいったのです。
皆喜んで岸に戻ってきましたが、それがいい事と申し上げたことです」

思うに多分それは、亡くなったその赤ん坊のお母さんが、柳行李が沈まないように支えながら、我が子をあやしていたのだと思います。

その時の赤ん坊は、存命なら今ちょうど60歳位になります。
男性か女性か、どちらかは分かりませんが、ご自分のその奇跡的な生い立ちを、ご存知なのでしょうか?

もしご存知なら、奇跡的に助かったご自分の運命や、お母さんや船の人たちに感謝して、ご自分も何か人のためになることを、きっとしていらっしゃることでしょう。